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2.ヘルス・リテラシー(健康に向けた知と技能)についての詳細説明

このページの最後には、YouTube上に、ヘルス・リテラシーについて分かりやすく説明されている動画がありますのでご覧ください。
 (注)要修正個所の情報を動画の欄外に表示してありますのでご覧ください。

健康の理解の仕方には、大別して二つの視点があり、第一は、健康の定義法に関わる視点、第二は、“名宛”即ち誰に向けた問いかの視点であることを概要で述べました。

健康の定義法は、WHO(1946)による定義が有名です。「健康」をどのように定義するかは、治療実践や医療組織と保健医療政策に影響を与えると同時に、逆にそれらを通じて「健康」の問題がどのように理解されているかを照らし出すことができる"からです 1)

世界保健機関(WHO)による健康の定義

WHOは、1946年に、健康の定義を次のように与えました 2)

Health is a state of complete* physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity**

この定義を意訳すると、

健康は、「身体的・精神的・社会的に、つまり全人的によい状態」であり、「病気も障がいも共にない状態***」でもある、となります(本コーナー執筆者)。

* completeは、entire 又はwholeの意であり、“身体的・精神的・社会的”という形容詞をひっくるめてみた場合のwell-beingの修飾語。
** infirmityは、“障がい”と訳したが病気とは言えない負の状態の総称として理解。
*** 理想的な状態。

なお、WHOの執行理事会は、1998年に、同定義の見直し作業を行い、健康はdynamic state(動態的状態)であると提案しましたが、翌年の総会で諮られることなく今日に至っています。本コーナーでは、本学実施した文科省事業の成果(阿部四郎、2013、本コーナーの文献参照)に依拠し、健康はdynamic state(動態的状態)であるとの立場をとっています。

ここで、上記定義の前半は、ポジティブな言葉を使って定義していますのでポジティブ・ヘルス、後半は、ネガティブな言葉を使っていますのでネガティブ・ヘルス、と呼ぶことにします。両者は独立して制御可能であり、ともに重要です。

健康の理解の仕方の第1の視点に関して

以上のWHOによる定義から、「健康というものをどのように理解していますか」という質問に対しては、「ポジティブ・ヘルス」と「ネガティブ・ヘルス」の均衡(バランス)が重要だということにまず気づかなくてはなりません。ここでのバランスとは、荷重を相対的に比較した場合のことですが、両者は独立して制御可能ですので、時代の推移に伴う絶対的な比較も難しい問題ですが必要です。

このうち、ネガティブ・ヘルスについては、毎年学校や職場や市町村が行う「健康診断」で数値的にチェックされてきました。これはリスク管理の健康法と言えるものですが、それにも拘わらず、健康向上とは逆に、がんや心筋梗塞、糖尿病、慢性腎臓病、脳梗塞などの生活習慣病にかかる中高年齢者が年々増えてきています。そのため、国は中高年齢者を対象に、通称メタボ健診と呼ばれる"特定健診・特定保健指導"制度を発足させました。しかし、若者は対象になっていません。

一方、身体的・精神的・社会的に、つまり全人的によい状態を指すポジティブ・ヘルスについては、本質的に人それぞれであり、しかも動態的であるため、これを病気の診断をする時のようにある基準値で数値的にチェックすることはできません。したがって、健康に導くとみなされる、より望ましい生活習慣のあり方を個人が学び、健康向上をめざして、それを自己管理していくより方法はないのですが、そのための積極的な「挑戦の健康法」は、あまり知られていませんでした。

健康の理解の仕方の第2の視点に関して

第2の視点は、ちょっと難しく言うと価値の単位に関わる視点です。言いかえると、「健康という問題は誰に向けられた問いでしょうか」という“名宛”に関する視点のことです。この問いに対してあなたは何と答えますか。「あなた自身」への問いかけでしょうか。それとも「社会」への問いかけでしょうか。 病気にかからないように常日頃から健康向上に努めることは個人の問題ですが、それも“健康的な社会”があってのことですね。このことは大震災後の被災地のことを考えれば理解できると思います。震災で社会自体が崩れかかった地域ではその復旧と復興がなければ個人の健康向上は困難だからです。要するに、健康問題(課題)は、個人に向けられた課題であると同時に社会に向けられた課題でもあるのです。

このように、ヘルス・リテラシー(健康に向けた知と技能)の視点に立ってみますと、健康問題(課題)は、健康の定義の仕方をポジティブ・ヘルスとネガティブ・ヘルスのどちらの立場を重視するか、また、個人と社会の何れを重視するかに依存して、健康向上に向けて実践すべきことが異なることに気がつきます。そして今日の日本は、少なくとも震災以前は、相対的比較でネガティブ・ヘルスと社会が偏重される“監視型社会”になっていたように思われます(下図参照)。

結果的には、類まれな高寿命社会が実現したにも拘わらず、高齢者が幸福な生を全うするには難しい、「長命地獄3)」と言われるような“逆説”が生じています。したがって、この逆説を解消すべく、ポジティブ・ヘルスの視点に立ったヘルス・リテラシー向上法とそれに基づく健康向上法を急ぎ開発し、個人と社会の両面からバランス状態に引き戻すことが重要です。震災後社会そのものが崩れてしまった地域においては、東北地方に限らず、このことは重要です。それには、これからの日本を背負っていく若者の意識改革が欠かせません。tfu元気点検票、及び、その行動項目から創案されたtfu元気点検票教育かるたは、知と技能(リテラシー)を向上させるための支援ツールとみなされます。tfu元気点検票教育かるたの意義については、本学ウェブサイトの「TFUリエゾン・ナビ」の第8章4節:「tfu元気点検票かるたをやって見よう」をご覧ください。

は、それぞれ、黒の点線矢印の方向に偏った場合の状態を示す。少なくとも震災前は、ネガティブ・ヘルスと社会が偏重される監視型社会になっていたと見られる(出典:庭野他 4))。震災後は、個人と社会の両面からこれを均衡(バランス)状態に引き戻す(赤矢印)ことがことのほか重要である。

最後に、ポジティブ・ヘルスとネガティブ・ヘルスの両面をバランスよく常に考慮する文化を、単に健康問題だけでなく、それと隣り合わせにある福祉の問題、さらには教育の問題、・・・についても、育み、皆さん方の子どもたちに伝えて行って欲しいと思います。

以上の説明を分かり易くした動画(約20分)がYouTube上に用意されていますので、ご覧ください。

(注)この動画は、2012.3.29に東北福祉大学広報課によりU-tube上に公開されましたが、公開後3年を経た2015.3.25の段階で以下のコメントが追加されています。

(1)5番目の健康についての説明の画面では、「この定義の前半は、人間を身体的・精神的・社会的に捉えて、つまり全人的に捉えて、良好というポジティブな言葉を使っていますので、ポジティブ・ヘルス、後半は、病気というネガティブな言葉を使っていますので、ネガティブ・ヘルスと、私たちは呼んでいます。」と、先生が発言していますが、画面には、「つまり全人的に捉えて」という重要な言葉が脱落していますので、訂正させて頂きます。

(2)9番目では、「健康というものは、その定義法の視点から健康向上に向けて全人的に良好というポジティブ・ヘルスと、病気でないというネガティブ・ヘルスの両者のバランスをとることが大事だということね。」と元気ちゃんが発言しています。また、12番目では、「・・・現代社会ではそのバランスが崩れているんです。」と先生が発言しています。ここでのバ¬ランスとは、両者を相対的に比較した場合であることにご注意ください。12番目の画面¬でもこのことは重要です。このコメントの背景には、両者は独立に制御可能であることが¬明確になったという、研究(解釈)の進展があります。

(3)17番目にあります「tfu元気点検票かるた」は、「tfu元気点検票教育かるた」と改称されています。

(4)21番目~22番目のウェブ上の「tfu元気点検道場」は、2015.3.31を期して閉鎖されます。それは、元気共鳴装置のアイデアが浮上したことにより、2015年度¬からは、主人公自身に “元気共鳴装置”を能動的にスパイラル回転させ、道場の機能を達成して頂くことにしたからです。詳しくは、東北福祉大学のサイトにあるtfu元気点検票コーナーをご覧下さい。

(5)23番目のエピローグは、是非ご覧になってください。

参考文献

1):
阿部四郎「現代の健康論に関する一考察」『東北福祉大学感性福祉研究所年報』、7、1-14、2006
2):
Preamble to the Constitution of the World Health Organization as adopted by the International Health Conference, New York, 19-22 June, 1946; signed on 22 July 1946 by the representatives of 61 States (Official Records of the World Health Organization, no. 2, p. 100) and entered into force on 7 April 1948.:
http://www.who.int/about/definition/en/print.html
3):
久道茂「公衆衛生の責任 ―これからの保健・医療をめざして―」東北大学出版会、229、2000
4):
庭野賀津子、河村孝幸、水野康、鈴木玲子、皆川州正、大内真弓、西野美佐子、山本光璋、阿部四郎「ヘルス・リテラシー理論の再構築」『東北福祉大学感性福祉研究所年報』12、45-54、2011

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