Tohoku Fukushi University

研究概要

 大学などの高等教育機関における教育カリキュラムや、職業能力開発施設での職業訓練、企業の社員研修等の社会的・職業的能力育成プログラムの充実は、社会とかかわりをもちながら職業に従事して生計を維持し、自分らしく生きてゆける人材を育てる上で重要な課題となっています。

 これを実現するためには、プログラムがもたらす効果を正しく測定し、定量的に評価することが必要です。そしてプログラムの効果を学習者に定量的に示すことは、教育や学習の質を保証する上で重要であり、また学習者の意欲向上へとつながっていくことが予想されます。

 以上のような問題意識を背景として、本事業では、社会的・職業的能力育成プログラムの効果を客観的に評価する新たな基準の1つとして、教育や訓練、職業、成人までに形成されたパーソナリティ特性等に依存して適応的に変化していくと考えられる(社会的)認知機能およびそれを実現する脳機能・脳構造・脳内ネットワークの測定結果の提供を目指します。

 この課題の実現に向けて、数年にわたる認知機能や脳機能、脳構造、脳内ネットワークの変化を視野に入れて定期的な測定を行う縦断研究、年齢や職業経験、およびパーソナリティ特性において異なる集団を対象とした横断研究を組み合わせたマトリクス的アプローチを採用して研究を展開していきます。並行して高精度測定法や新たなデータ分析法等を含む脳機能イメージング技術の開発を進めて、個々人の脳と認知の関係を包括的に理解するための新たな情報を提供していきます。

 さらに本事業では、これらの研究展開に際して社会的能力育成や職業適性の問題に直面している諸機関・施設等の現場との意見交換を行います。現場で得られた意見を取り入れて、現状に即した多数の心理測定および脳計測を組み合わせて実施し、認知機能や脳機能・脳構造・脳内ネットワークを多面的に計測・定量化していくことで、個々人の中でうまく発達している能力の発見や既存の育成プログラムが抱える諸問題の解決につながる有益な情報の獲得が期待できます。このように、大学等の教育機関、高齢者福祉施設、医療機関との意見交換や共同研究により得られる研究成果情報を諸機関に還元するというサイクルの中で社会的・職業的能力を育成する教育プログラムの改善支援につなげていきます。