1. ホーム
  2. 研究・社会貢献
  3. 東日本大震災と大学
  4. 東日本大震災後の要援護者の行動実態と支援実態に関する調査・研究事業
研究・社会貢献

平成24年度 セーフティネット支援対策等事業費補助金 社会福祉推進事業
東日本大震災後の要援護者の行動実態と支援実態に関する調査・研究事業

調査研究報告資料[PDF:5.9MB]
調査票[PDF:695KB]
事業実施期間: 平成24年7月13日〜平成25年3月31日

事業目的

東日本大震災後の要援護者の行動実態と関係機関や組織の支援実態を明らかにし、問題・課題・評価される諸点を体系的にまとめ、今後の大規模災害時の要援護者の支援・救済の在り方を提言する。

事業内容

宮城県・福島県・岩手県を中心に、東日本大震災後の要援護者(要支援・要介護者(認知症を含む)、障害者、虚弱者)の行動実態と関係機関や組織の支援実態を、下記の5つの調査により明らかにした。

  1. 福祉施設対象のアンケート調査(693施設)
  2. 訪問系事業所(訪問介護、訪問看護)対象のアンケート調査(11932事業所)
  3. 自治体対象のアンケート調査(896自治体)
  4. 要援護者・家族対象の記録フォローアップ調査(250件)
  5. 地域包括支援センター・居宅介護支援事業所対象の訪問調査(約150件)

調査内容は、(1)要援護者の障害の程度や施設などの属性、(2)要援護者が震災時にいた場所、(3)震災前後の見守りの状況、(4)震災時の要援護者や支援者の行動と支援・対応の状況、(5)震災後の要援護者支援の内容・実態と想定された支援対応の乖離、(6)震災時の要援護者支援の問題点・課題・評価される諸点、(7)今後の要援護者支援体制や政策への要望、等である。(調査票は別紙参照)

事業実施期間

平成24年7月13日 から 平成25年3月31日 まで
(平成24年度予算の国会承認が遅れたため、厚生労働省から本事業の交付が出されたのは11月27日であり、調査開始が遅れた。)

調査結果及び考察

社会福祉施設を対象としたアンケート調査

<調査方法・対象>

岩手県、宮城県、福島県の介護老人福祉施設、介護老人保健施設を対象として、WEBアンケート調査を実施。回答116施設(回収率16.7%)

<調査結果>

報告書p.5-44参照

<分析結果の考察(抜粋)>

報告書p.312-313参照

  1. 震災対応の要援護者及び施設の支援体制と実態
    • 緊急時の対応に関するマニュアルが整備されていた事業所では、情報把握の方法、外部との連絡手段、他の機関との緊急時の対応確認、燃料確保方法、職員招集方法が多くの施設で課題として考えられていた。マニュアルがあっても、これらの課題の重要性を示している。
    • 職員不足や職員の過労を克服するための方法は、他施設等からの食糧調達や飲料水調達が主なもので、マンパワーの問題に対するものとは必ずしも考えられない。施設近隣在住の要援護者への見守り活動をした施設では、食糧の4日以上の備蓄や情報担当窓口の統一によって対応していた。
    • 訓練を活かすことのできなかった点や課題は、燃料確保、外部との連絡手段の確保が特に多く、今後の取り組みとしては、燃料供給が可能な機関との優先的な燃料供給契約等による体制整備が求められる。また、外部との連絡手段については、衛星回線等を経由した無線やその使用方法の研修等、平時からの準備が必要となる。そういった環境整備の手段は、行政や民間を問わず、複数の選択肢を有することが重要となる。
    • 震災前の段階で、BCPを策定していた施設(きちんと策定していた施設と一部策定していた施設の合計)は、全体の25%程度であった。BPCの普及が求められる。
  2. 今後の取り組み
    • 今後必要な取り組みとして食糧や飲料水の備蓄の増分が指摘されていた。今後大震災が予想されている地域も含めて、施設独自の対応が求められる。同時に施設だけでは限界があるので、災害時の流通業界との連携体制構築が求められる。
    • 多くの施設では、自治会・町内会等との連携構築や平時からの医療機関との緊急時の対応の取り決めができていなかった。関係機関・組織との地域連携の構築が求められる。
    • 地域全体での平時からのネットワーク構築が重要と考えられる。そのためには、自治体が中心となり、地域ごとに役割分担と連携が必要となる。

訪問系事業所(訪問介護、訪問看護)対象のアンケート調査

<調査方法・対象>

青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、新潟県、山梨県、長野県の 1 都 15 県の訪問介護事業所及び訪問看護事業所(住所の確認ができたところ)を対象に、WEBアンケート調査を実施。
 配送数・・・11,932 事業所  有効配送数・・・11,788 事業所  回答数921事業所(回収率7.8%)

<調査結果>

報告書p.45-80参照

<分析結果の考察(抜粋)>

報告書p.313-314参照

  1. 事業所属性と要援護者及び職員の被災状況と対応
    • 訪問介護事業所と訪問看護事業所とでは、訪問看護事業所のほうが重度の利用者を受け持っており、要介護度 3 以上の利用者の割合は、中央値で 60%と 6 割を占めていた。訪問看護事業所は要援護者の医療介護の支援が可能であり、災害時に多くの役割を期待できるが、平常時でも訪問看護事業所が不足気味であり、訪問看護師の確保については関係者の努力が求められる。
  2. 要援護者の見守り体制と課題
    • 安否確認や見守りの主な対象者は、事業所の利用者であった。約 8 割の事業所で安否確認や心身状態の把握等の見守り活動が実施されていた。施設入居者以外の高齢の要援護者への見守り活動は、訪問系事業所や地域包括支援センターの職員、ケアマネジャーが多く実施していた。災害時の見守り機能として、訪問系事業所や地域包括支援センターの役割を明確にする必要がある。
    • 自事業所の利用者の安否確認や心身状態の把握等について、燃料不足、電力不足、通信関連、連絡体制、避難所の情報等の不備が課題として考えられている。これらの課題を克服するための方策としては、他事業所との情報交換が最も多くの事業所でとられていた。また、ガソリンスタンド等の優先的供給する事前協定を結んでいた事業所もみられた。平時からの関係機関協定などが重要といえる。
  3. 要援護者支援体制と連携支援体制の実態と課題
    • 連携の相手機関は、系列の居宅介護支援事業所が最も多く、地域包括支援センターも連携相手として多い。ケアマネジャーが要援護者支援のネットワークの中心となっていることがわかる。災害時におけるケアマネジャーの対応について、実践的研修が望まれる。緊急時の取り決め内容は、緊急連絡網の整備、利用者・患者への対応、機能連携・分担、情報担当窓口の統一化、双方間の連絡方法や無線等の備品の確認・確保が主な項目となる。
  4. 今後の取り組みについて
    • 今後必要と考える災害時における要援護者・職員の支援体制構築には、ライフラインの被害想定・対応体制整備、燃料確保体制整備、食糧・飲料水の備蓄増分等が必要と考えられる。
    • 緊急時の対応を取り決める機関としては、他に病院や自治会・町内会等もあげられており、地域全体による取り組みが不可欠である。

自治体対象のアンケート調査

<調査方法・対象>

北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、 群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県の自治体(住所の確認ができたところ)を対象に、WEBアンケート調査を実施。
 配送数・・・896自治体   有効配送数・・・895自治体  回答数195自治体(回収率21.8%)

<調査結果>

報告書p.81-106参照

<分析結果の考察(抜粋)>

報告書p.314-315参照

  1. 自治体属性と住民及び職員の被災状況
    • 要援護者を支援する上で、自治体が自治体内のすべての要援護者の支援に対応することは不可能である。したがって、地域区分した一定の範囲のなかで支援体制を確立していくことが現実的な手法の一つである。日常生活圏は地域包括支援センターとも関連する基本的な単位といえる。
  2. 震災前後の対応と協定体制
    • 要援護者の名簿を震災前より作成していた自治体が 65%、震災後に作成した自治体が 23%と現在約 9 割の自治体が作成しているが、震災時の活用方法を関係者で取り決めておく必要がある。
    • 要援護者支援のための通信手段としては、防災行政無線(同報系)が主に用いられたが、衛星回線を用いた通信手段は、ほとんど用いられなかった。また、4 割近くの自治体がそういった手段を用いる段階には至ってはいなかった。大震災時には長時間通信が不能になる可能性が高いので、震災時の通信機能確保が必要である。
    • 震災前の段階で、他の自治体と事前協定を結んでいた自治体は、71%と 7 割以上を占めたが、実際に実行されたものは今回の場合でも殆どゼロであった。実行力のある体制作りが求められる。
  3. 要援護者の支援を中心とした課題
    • 支援職員の受け入れのあった自治体は少数であったが、支援職員を派遣した自治体は、7 割を占めた。事前協定を実施した自治体は、ほとんどなかった結果と齟齬があるが、自主的に派遣したのか、事前協定のない自治体に派遣したのか等に関する派遣のプロセスについて明らかにすることは、今後の自治体間連携を円滑にするためのヒントとなる可能性がある。
  4. 今後の取り組みについて
    • 要援護者の安否確認や心身状態の把握等の見守り活動では、訪問系事業者やケアマネジャー、地域包括支援センターが大きな役割を担っている。自治体の訓練には、これらの専門職の参加は多くない。連携体制確立が望まれる。
    • 平時からの専門職と行政の情報の共有も不可欠である。災害のような緊急時には、多くの選択肢が必要である。行政側がリーダーシップをとり、連携体制作りが望まれる。
    • 平時からの自治会・町内会等との震災対応に関する情報交換と連携、要援護者リスト、リスト外の要援護者情報共有も必要といえる。

要援護者・家族対象の記録フォローアップ調査

<調査方法・対象>

東日本大震災時・事後に、社会福祉士やケアマネシジャーにより作成された記録等を用いて、大震災からの要援護者の行動実態や支援実態を、記録簿や要援護者・家族等に確認し、時系列的に所定用紙に記録した。調査対象は岩手県、宮城県、福島県の震災当時の要援護者及び家族252件

<調査結果>

報告書p.107-207参照

<分析結果の考察(抜粋)>

報告書p.315-316参照

  1. 被災直後の状況
    • 東日本大震災後の原発による人的被害は 1 割程度であるが、その中で病気になったケースが 8 割と最も多い。次に要介護になったケースが 3 割、けが人 2 割となっている。原発被災地域では、他の地域より病気になったケースが多い。強制的避難のために病状が悪化した要介護者がいたことを示している。原発事故の想定避難について、要援護者に関する避難計画が必要である。
    • 被災地域では、要介護者の行動として、自宅からどこかに移動した割合は 8 割で、その中で避難所に移動した割合は 7 割であった。移動手段は、徒歩 2 割、手引き誘導と車椅子介助はそれぞれ 1 割であった。移動の際の支援者は、家族・親族が 5割、近所の知り合いが3割弱を占めた。要介護者の災害時避難は、近くにいる人であることから、要介護者のいる家族・近所の住民には、特に普段からの避難情報の周知が求められる。また独居の場合の対応については、要援護者周辺のコミュニティー形成が必要になろう。
  2. 要援護者支援の課題
    • 災害発生後 3 日までの対応について、よくできたと思われるのは 25%で、出来なかったとの判断が半分以上になっている。よくできた点についてみると、福祉避難所が震災当日に立ち上がったので、ヘルスケア対応ができた、地震直後に安否確認が取れ、避難先に搬送できた、災害当日に病院搬送ができ、医療機器の電源確保ができた、等で、迅速な対応が見られる。災害地域の被災状況の差や災害への対応の準備度が良くできたか否かに関係してくる。全く対応できなかった内容として、併設施設の対応に追われて要援護者支援ができなかった、ガソリンのある範囲でしか安否確認ができなかった、自宅や職場が被災し、仕事に戻れなかった、電気・水道がストップした在宅より、施設入居者への対応が優先された、等が見られた。大災害で生ずる様々な可能性についてリスクマネジメントが必要になる。
    • 災害発生後 4 日から 1 週間で発生した連携上の課題について、最も多かったのは、搬送可能な福祉施設の情報がなかった(4 割)、医療機関との連携を図るための窓口がどこか分からなかった(3 割)、搬送可能な医療機関の情報がなかった(3 割)、福祉施設等の専門職支援が欲しかった(2 割)、福祉施設に搬送する為の手段の確保が困難であった(2 割)等であった。災害時の連携体制は、災害に備えた連携構築により活用される。事前に連携体制ができていても、十分機能するかは分からない。ましてや事前に連携体制がなければ前述のような結果を招く。災害に備えた関係者間の連携体制作りが早急に求められる。

地域包括支援センター・居宅介護支援事業所対象の訪問インタビュー調査

<調査方法・対象>

事前に訪問調査の目的、調査票、調査方法を送付し、FAX による調査対象者からの同意書受信で、調査協力可能な事業所を確定する。その後、事業所と訪問日程を調整して訪問調査を実施。調査対象は岩手県、宮城県、福島県の地域包括支援センター及び居宅介護支援事業者の中で、訪問ヒアリング調査に協力できる事業所。調査回収件数:122件

<調査結果>

報告書p.208-311参照

<分析結果の考察(抜粋)>

報告書p.316-317参照

  1. 被災後の状況
    • 居宅介護支援事業所と地域包括支援センターの利用者の安否確認や心身状態の把握等の見守り活動を実施したところは、9 割以上を占めた。また避難所の要援護者を対象としたところも 3 分の 1 みられた。居宅介護支援事業所と地域包括支援センターの災害時での安否確認機能の高いことが分かる。しかし機能確保にはガソリン等燃料の確保体制整備が不可欠である。
    • マニュアルが整備されていた事業所及びセンターは、7 割を占めた。内部関係者間の連絡方法、事業所・センター内の役割分担、緊急連絡網の整備がそれぞれ 7 割を占めた。居宅介護支援事業所と地域包括支援センター側からの連携はかなり整備されているが、要援護者の立場からは不十分に見える。その乖離の是正が求められる。
  2. 課題について
    • うまくできなかった点や課題は、内部関係者間の連絡方法、情報把握の方法が最も多く、自治体との緊急時の対応確認方法も主なものとして考えられていた。特に重要と考える内容は、情報把握の方法、安否確認方法、利用者への対応であった。インタビュー調査の結果からは、これらの項目が関連しており、マニュアルの有無にかかわらず、利用者に不安を与えないようにする対応が求められる。
    • マニュアルには、今後具体的なケースを想定し、細かな対応について、事前に取り決めておく必要があると考えられる。平時からの他施設等、自治会・町内会等との情報交換は、7 割以上の事業所及びセンターで実施されていた。町内会の総会に出席し、なじみの関係の構築、民生委員との勉強会、町内会等と要援護者リストの作成等に努めるところもみられた。一方で、町内会とのつながりはあっても、町内会長のみとの関係で、一体的なものでない等の課題もあることがわかった。マニュアルは重要ではあるが、日ごろからの人間関係構築が必要であろう。
    • 今後必要と考える災害時における連携体制構築のために必要な取り組みでは、燃料供給の優先的補完関係の締結、平時からの自治体との緊急時対応の取り決め、民生委員との要援護者リスト共有、平時からの周辺施設・事業所との緊急時対応の取り決めが主なものとして考えられていた。これらを具体化する行動が求められる。

政策・施策的提言

5つの調査分析から得られた共通の課題について検討し提言する。

ガソリン等エネルギー確保の重要性

東日本の広範囲の福祉施設や訪問系事業所でガソリン・灯油不足が発生し、要援護者支援に重大な支障が見られた。ガソリン・灯油不足は、暖房機能の欠如や低下、安否確認の障害、食料・生活用品・薬確保のための移動支障、食事供給等に支障をきたす。今回の大震災後、東北地方の石油精製施設が壊滅的打撃を受けたにもかかわらず、他の地域からのガソリン搬送の決定が遅れ、結果的にガソリン不足が深刻化した。タンクローリーを高速道路で走らせなかったこともガソリン不足を長期化させた。ガソリンや灯油は発電にも使っているので、震災後のガソリン・灯油の供給支援は迅速に行う体制が求められる。

災害時のライフライン対策

大災害時にはライフラインが長期間機能停止する可能性が高いので、復旧までの暫定的対応が必要になる。通常福祉施設や事業所では、停電などに備えて自家発電装置があるが、これもガソリン・重油等燃料がないと長時間使えない。蓄電池の普及やハイブリッド車のバッテリー活用などを事業所や家庭で使えるシステムづくりが求められる。上水道・下水道の機能停止については、一定の備蓄も必要であるが、機能停止の情報を災害後に共有できるシステム作りが必要になる。

情報通信連絡網の確保

大災害時には3つの障害が発生する。1つは津新吉局などが壊れて通信が障害される場合、2つは、安否確認などの大量の通信が発生することにより輻輳状態となり通信が障害される場合、3つは、要援護者の居住場所の情報が入手されていない場合である。最初の障害については、日常生活圏域で複数の衛星電話が使える環境やアドバルーンを使った短時間準備での簡易基地局の設置、携帯の充電機能整備等が考えられる。2つ目はすでに用いられているがNTTの安否確認通信の利用等で輻輳状態を早めに緩和することが重視される。3つ目は要援護者の情報が地域で共有される環境作りが重要になる。災害時には個人情報がないと安否確認・生活支援や搬送ができないので、過度の個人情報保護は要援護者の救出を難しくする。個人情報の災害時の活用について、地域コミュニティーでの情報共有の仕組みづくりが必要である。

災害発生時の要援護者の生活支援・搬送

災害発生時に要援護者の生活支援や搬送しているのは、家族や近所の住民が主である。訪問系事業所、地域包括支援センター、居宅介護事業所等は、家族のいない独居要援護者について関係者が情報共有し、分担して安否確認や生活支援を行うなどが望ましいが、今回の震災では必ずしもうまくいかなかったようである。地域のコミュニティー化が必要であり、安否確認機能や生活支援サービスが提供される高齢者サービス付住宅や居住施設の整備・充実が求められる。地域包括ケアシステムには、災害時の要援護者への対応のありかたが組み込まれる必要がある。

連携体制の構築

震災時には、個々の組織や個人の能対応には限界があり、限られた資源を効果的かつ効率的に運用するためには、連携体制の構築が必要である。連携は緊急時のみではなく平時から求められる。東日本大震災では提供者側からの視点として、内部関係者間のみでなく、外部機関の関係者とも平時から顔なじみの関係を構築することができていることの重要性が数多く指摘された。要援護者支援において中心的な役割を果たしたのは、ケアマネジャー、地域包括支援センター職員、訪問系事業所職員、自治会・町内会等の人々であった。今後は、専門職同士のみではなく、行政と専門職の連携体制の構築が大きな課題となる。自治体主体の訓練等への参加を積極的に呼び掛ける等、具体的な行動が求められる。また、燃料不足への事前対応策としては、ガソリンスタンド等との優先的な燃料供給契約締結が考えられる。こうした連携体制構築のためには、一定の地域区分のなかでの構築を図る方法が現実的な方策の一つであろう。

組織管理

組織の災害対応手段の一つがマニュアルである。災害対応マニュアルは絶対的なものではなく、今回の教訓を反映し、具体的なケースの想定と細かな対応の確認をおこなってマニュアルをより良いものにすることが重要である。緊急時には、多くの関係者と情報が入り乱れる。情報担当窓口を統一化し、情報のゲートキーパーの設置が対策本部の設置と同時に求められる。組織では垂直方向の連携と水平方向の連携が求められるが、双方で情報担当窓口を統一化しなければならない。社会福祉施設や事業所、自治体では、人員不足も大きな課題で、職員の過労に拍車をかける。支援職員派遣等のコーディネート機能の強化を自治体間、施設・事業所間で図る必要がある。

要援護者リスト作成のあり方

要援護者リストの作成は、多くの自治体で作成されているが、自治会・町内会等と地域包括支援センター等も独自に作成している。また、民生委員との勉強会も実施されている。一方で、個人情報保護法の解釈やコミュニティー意識の希薄化は、リスト作成上の障害ともなっている。一部関係者間での要援護者要援護者情報の共有は可能な部分もあるが、要援護者情報は個人情報であるが、災害時には安否確認や生活支援に活用される重要な情報である。今回の震災で地域の要援護者支援に携わったのが誰であったのかを吟味し、情報共有に関する周知をすることが望まれる。また、要援護者リスト外の要援護者も多く、要援護者側からの理解も不可欠になる。

本ページに関するお問い合わせ先

〒981-8522 宮城県仙台市青葉区国見1丁目8番1号
東北福祉大学 企画部
TEL:022-717-3329 FAX:022-233-3113

Copyright © Tohoku Fukushi University. All rights reserved.