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芹沢銈介作品 「船渡御」(大阪フェスティバルホール緞帳原図 試作染)


「船渡御」原図試作染
木綿地型絵染 1968年
55.0×163.5cm(本紙)


原図下絵 紙 肉筆 下絵
48.3×164.5cm


摺り箔部分試作染 紙 合羽刷
62.0×177.7cm

 1968年、芹沢銈介は大阪・中之島のフェスティバルホールの緞帳のデザインを手がけました。

 原図は日本三大祭りのひとつ、天神祭をモチーフとした「船渡御(おわたり)」と題するものです。 1968年8月8日に初めてホール大緞帳が披露されました。幅33メートル、高さ11メートルという大きさで、「黒幕のおおいをはずして、まばゆい大緞帳が披露されると客席から割れんばかりの拍手が起こった」と当時の新聞は伝えています。さらに芹沢は、披露記念の印刷物に制作意図を次のように述べています。

 「色彩的な面に金色の小紋を散らして、よい織布に感じる深い静かさを湛えた、明るい華やかさを観客に贈りたいものと念じました。材図に天神祭の「おわたり」を撰んだのはその上に土地柄の気持を盛り上げ度い心からです。図案は五彩のたて縞の地に「おわたり」の図を「摺り箔」でおき、織り上りまでの諸工程を通過する間に模様が醇化される事を期待しました。倖、川島織物さんの理解と研究によってその材質や色染でよい織肌のよい結果が現じた事を喜んでおります。この度はからず、かねてから夢見ていた大願が叶って誠に悦びにたへません。」

 空にさく裂する花火、大川を行くご神霊を乗せた御鳳輦(おほうれん)船を中心に船が行き交い、無数の提灯とかがり火をたいて華やいだ川筋の民家など、大阪の賑わいが画面いっぱいに表現されていました。

 五彩のたて縞に「船渡御図」を摺り箔で表現した芹沢の原図の豊かな色調は、名物裂の伝統を思わせるデザインです。株式会社川島織物は4ヶ月を費やし、綴れ織りの手法を用いてこれを見事に再現しました。

 大阪フェスティバルホールは1958年に建設され、倉敷レイヨン社長の大原総一郎が初代緞帳を贈りました。10年の歳月を経て痛みが出たため、2代目の緞帳原図を芹沢に依頼したのです。残念ながら大原総一郎は完成品を見ることなく、1968年7月27日に亡くなったそうです。

 当館は、緞帳原図試作染と下絵、摺り箔部分の文様だけを墨で合羽刷りした試作染の3点を所蔵しています。当館の原図試作染は紫、朱、萌黄、黄、藍の5色に染め分けた地に「船渡御」の文様を摺り箔で置いたものですが、左上方に青インクのしみがあるのが残念です。

 ちなみに現在の緞帳はその後にかけ替えられたものですから、芹沢デザイン「船渡御」の緞帳を今は見ることができません。

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